【対談:日台の震災対策】台北市議員 阮昭雄先生

東日本大震災から7年となる本日3月11日、台湾から台北市議員の阮昭雄先生をはじめとする防災の専門家、馬士元博士(銘傳大學城市規劃與防災學系副教授)、鄭錦桐博士(台灣防災產業協會秘書長)、賴穎萱先生(台灣防災產業協會 專案經理)陳冠延先生(財団法人台灣世代教育基金會 副執行長)が都庁にお越しになり、震災対策の取組や課題について、意見を交換する機会をいただきました。

東京では、首都直下地震が30年以内に70%の確率で発生するといわれており、発生した場合には、約2万3000人の死者が発生すると想定されています。

そのため東京都は、木造建築物の耐震化や不燃化を区市町村と連携して進めており、木造密集地域における危険地域を設定し、該当する地域は助成を受けられるという制度を定めました。

また、国としても木造密集地域において「不燃化プロジェクト」として取組み、区市町村と連携を取りながら優先的に対策を進めています。

沿道の建築物についても耐震化を促進しており、しない建物については公表しています。

台湾では、921大地震、最近では花蓮大震災等、日本と同じく震災が非常に多く発生する地域であるにも関わらず、政府が国民に対し耐震工事の情報を発信すると、「これから地震が起こるという感じがして嫌だ」と国民から反感を買い、震災対策を推進することが難しいという現状があるようです。

国によって防災に対する意識や考え方が全く違うことに大変驚きました。

首都直下地震が発生すると、多くの帰宅困難者が発生するといわれています。都は、そのような帰宅困難者を72時間受け入れてもらう為に施設と協定を結んでいますが、余震などがあり、それにより被害者が出た場合に、今のところ施設側に責任が問われるようになっているため、施設側はあまり前向きではありません。そのような場合に、施設側の責任にならないように賠償責任については、法律を変えていかなければなりません。

特に新宿駅は1日に360万人以上の人が利用をしています。多くの人が利用していることもあり、帰宅困難者について考えることも重要になります。

東京都の政策を、他の都市と比較することにより、初めて客観視することができ、都市の強みや、改善しなければいけない点が明らかになると感じています。