【訪問:高齢者介護と福祉のあり方について】特別養護老人ホーム「あかね苑」様

 先日、事務所の近くにある特別養護老人ホーム「あかね苑」を訪問し、超少子高齢化社会における高齢者介護と福祉のあり方について考えてきました。

「あかね苑」では、2,569.17㎡あるゆったりとした敷地の中で、特別養護老人ホームのほか、ショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業も行っています。また箪笥町高齢者総合相談センターの運営も行い、地域福祉の拠点として、地域に根ざして、皆様に愛される施設づくりを目指されています。

「あかね苑」は、家族の面会が多いことや、スタッフの離職率が低いことでも評判です。

今回の訪問では、現場責任者の方ならではの懸念点も教わりました。

 

「あかね苑では、年に数回、地震や火災発生時の避難訓練を実施しています。ただ、職員の訓練はできても、利用者の方は、要介護度が高いため、実際に訓練に参加することが難しいことが問題になっています。」

「スプリンクラーは設置されていますが、3階建てのため、もし避難することになった場合は多くの人員による助けが必要となります。」

 このような事情があるので、あかね苑では、緊急時に近隣住民と連携し協力してもらえる体制を整えておきたいが、現状では体制づくりが難しいとのことでした。

 また、停電時にPCや痰吸引機が使えなくなる恐れがあり、生命の維持にかかわる問題へとつながってしまう為、非常電源の確保が必要だが、100%確保することが難しい現状があるとのことでした。

 

 

〜安心、安全な暮らしのために〜

 あかね苑では、近隣の高齢者の受入れが多いため、ご家族の訪問が多くなり、利用者の不安の解消や、職員の負担軽減につながっており、また、十分な職員数が確保でできているため、個人に重い負担がかからずに安定した介護が提供できているとのことです。

 外出レクリエーションなども頻繁に開催し、近所の小学生を招いた地域交流も行い、地域に根ざした施設運営で、利用者の方の生き生きとした暮らしにつながっています。

医療面でも多くの専門医と契約し、看護師も配備されているため医療サポートが充実しており、災害時には、近隣の高齢者の避難所として指定を受けています。

 

 

東京都が行っている「都民生活に関する世論調査」(最新版H28実施)では、都政への要望(東京都に対して特に力を入れてほしいと望んでいること)として、「高齢者対策」が53.5%と1位になっています。(2位は防災、3位は治安)

その具体的な内容としても「施設サービスの充実」は23.7%と多くの方が要望されています。

同世論調査では、東京都に住みたいと答えた方にその理由を聞いたところ、31.6%の方が「医療や福祉などの質が高いから」をあげており、この数字が高まることが一層求められます。

 

東京の郊外では、空室も目立ち経営が悪化している施設も増えていると声も聞く中、サービスを受ける高齢者の方、その家族の方にとって本当に必要なものは何かを利用者目線でとらえて、サービスを提供することが、事業者の方に今以上に求められており、また、それに対し行政が適切な支援とチェック機能を果たしていくことが重要です。

皆さまからの声をお聞きして、当事者の目線で理解を深め、これからも安心・安全に暮らせる社会の実現を目指して活動していきます。